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第9部「見つけた♪」

9部 見つけた♪





中学校1階トイレ  10時36分   加藤
「ハァァァ、ハァァァァ・・・」
加藤が男子トイレの個室で座っている。
鉄パイプで殴れたのか、右腕が青くなっている。
口からは血液が垂れている。
「・・・・・まずったぜぇ・・・なんとかここまで逃げたが・・・ゲホッゲホッ」
『キィ-・・・』
「!!!」
トイレのドアが開く音がした。
『よ・・・横海か・・・?・・・もう来たのかょ・・・・』
足音は1つ1つの個室を調べながら加藤のいる個室に序々に近付いて来る。
加藤は目をつぶり覚悟をした。
足音が目の前で止まる。
「・・・・宅か?」
加藤は見当違いの明るい声に顔を上げる。
「・・・・丸子ぉ・・・・」
目の前には、丸元が立っていた。加藤の顔にもつい笑顔が溢れる。
「ど、どうしたんだょ・・・そのケガ・・・ヤヴェーじゃん」
「ちょっとね・・・横海がね・・・・」
「あいつがやったのか?どこで?」
「・・・この学校内にいる・・・早く逃げないといけないんだけど・・・俺は足をやられたから・・・もうろくに歩けやしない・・・」
「・・・横海の武器は?」
「・・・・鉄パイプ」
「おっけ、ちょい待ってて」
丸元はトイレを出て行った。
『・・・何すんだ?』
しばらくして丸元がかえって来た。
「ほら、片足でトイレの外まで行くぞ」
丸元は加藤に肩を貸す。
加藤がトイレから出るとそこには滑車の付いた荷台があった。
「・・・・まさか」
「乗れ、これで俺が運ぶ」
「まじでかw」
加藤は荷台に乗り込む。
丸元は取っ手を持って走り出す。
「行くぞぉーー!!」
廊下を抜け職員玄関を出て外に出る。
門へ行こうとすると3階の廊下を横海が歩いてるのが見えた。
2人は笑った。
「わぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!!!!!!」
横海がその声に気付き外を見て、2人に気付き走り出していた。
「ハハ、バカだしw行くぞ、飛ばすぜぇ~」
「OK、行こ行こ!」
2人は門を出た。
このゲーム、初めての明るい声と笑顔だった。

灯台  11時02分   目面
「♪」
そこにはご機嫌な目面がいた。手には何か持っていた。
・・・・・鍵だった。
変わった形をした、持つ所に小さな赤い宝石の入った"鍵-key-"を持っていた。
『・・・絶対渡さない、他のやつが勝手に戦って死んで、私がこれでゴール♪』
「・・・フフッ」
目面が小さく笑った。

映画館2階映写室  11時33分   北藤・成琴・鈴縞
北藤が映写機をいじっている。
「・・・もう良いょ、多由ぅ」
「嫌、絶対映画見るんだもん」
そこには鈴縞と北藤がいた、成琴はどこかにいるのだろう、見当たらない。
「てかそれでできたら働けるじゃん」
「大丈夫、手順とか憶えて無いから」
「なんだそりゃw」
しばらく沈黙があった。
「・・・もうお昼だょ、食べようよ」
「先に食べてなさい、このくいしんぼうが」
「本来どっちがだょ」
「ん?何か言った?」
「言ってませぇーんw」
鈴縞はイスに座ってバッグからパンを出し、かじる。
「・・・そういえば・・・由美は?トイレ行ってから帰ってこないじゃん」
「成琴さん・・・ちょっと探して来る」
「うん」
「・・・あ、私帰ってくるまでにそれできてなかったら諦めるんだょ」
「分っかりましたよぉーだ」
鈴縞は映写室を出て行った。
「・・・・ふぅ・・・なんで付かないのかなぁ・・・」
北藤は映写機を頑張っていじる。
『・・・・ブツッ』
「おぉっっ、付いたかも!!」
スイッチを入れる、するとアクション映画らしきものが途中から流れる。
「やったぁーーー!・・・・・・!!」
北藤はスクリーンの方をのぞくとそこには人陰があった。
「由美かな・・・・・・由美ぃぃー!!」
人陰は、声に気付き、北藤の方を向いた。
・・・・しかし、北藤の目に映ったのは、成琴の顔ではなかった。
人陰は立ち上がり、2階にある映写室へと走り出した。
「!!・・・ヤバい、殺される・・・か、隠れなくちゃ・・・」
北藤は、映写機のスイッチを消し、近くにあったロッカーに入る。
息を凝らして静かにした。
『ガチャ・・・キィィ-ー・・・バタンッ』
映写室に誰かが入って来た、北藤はさらに静かにする。
ロッカーから外は見えない、けど少しなら音は聞こえる。
そいつは映写室の中を荒らし、探しているようだ。
・・・・しばらくした。
『ガチャ・・・キィィーー、バタンッ』
『で・・・出て行ったのかな・・・』
北藤は耳を済ます。
「・・・・・」
何の音もしない。
『カチャ』
北藤はゆっくりとロッカーのドアを開け、部屋を見る。
しかし、人陰は無かった。
「良かったぁ・・・もう行っちゃったんだぁ・・・・良か・・・」
北藤は背筋に悪寒が走った。
「何!?」
北藤は後ろを見る、しかし後ろは今まで入っていたロッカー、人がいるはずがない。
「・・・・はは、考え過ぎだょ・・・・・ね」
北藤は上に目線を流してしまった。
「・・・・・w」
そいつはロッカーの上にしゃがんでいた、そして一瞬笑った。
「・・・あぁ・・・あ・・・」
北藤は声が出なかった、いつものうるさい声も出なかった、出せなかった。
「・・・・見ぃぃーつっけた♪」
そいつは笑った。

本部  12時00分   立花
「・・・ペースが遅い・・・」
立花は口に煙草をくわえながら画面を見ていた
「・・・しょうがないですね・・・」







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